exhibition

- 2018. 7/7 - 7/11 に展覧会を行いました

デザイン小石川において「着せかえドールのように生成変化するオフィスビル」の建築模型を展示しました。

スモールサイズのフツウ極まりないビルディングタイプですが、次世代のワークスタイル=ワーキングコモンズ(意欲的な仕事場を誘発する創造的な環境)をサポートするオフィスビルです。

着せかえドールのように衣装を替え(多彩に塗り分けられる外装、様々なコモンスペースを充填し編集する内装)、多種多様なワーキングコモンズのあり方を試みます。また建築と不動産のあいだにある、街や世間の価値をオフィスビルに投じる試みでもあります。

建築なのに、ヒト,モノ,コトのネットワークをつくる道具であるようなオフィスビル。

今回はその多様な可能性の中から、7棟のドールズ(エミリー,シャルロット,カトリーヌ,ヴィヴィアン,カレン,サニー,ドロシー)を展示しました。


Dolls展(オフィスビルの提案・模型展)

会場 /DESIGN小石川

会期 /2018.07.07 - 07.11

主催 /飯島直樹デザイン室・カクデザインオフィス・創造系不動産


ヒト、モノ、コトのネットワークを作る道具

街の普通のオフィスビルは、概ねコントロールされたコスト、延べ床面積に対するレンタブル比の最大化、既製品安価建材の寄せ集めで出来上がっています。 世間的条件がそのまま箱となって姿を現し、絶望的な退屈さで街並みにソッポを向いています。
そうした街の現実に対し、オフィスビルの潜在的需要を掘り起こし、中規模オフィスビルの新しいカテゴリーを作り出すものとして、10年前、私は野村不動産のオフィスビルブランドPMO の立ち上げに参加しました。高い機能性とグレード感を備えた黒を基調のソリッドなデザインがマーケットの評価を得て、現在までに31棟が竣工しています。
その10年の間に、思いがけず大学のラーニングコモンズのデザインを手がけることになりました。工学院大学のラーニングコモンズB-ICHI(新宿) とLC8(八王子)です。 空間デザインによる環境の仕向け方によって、教室外でのアクティブラーニングや活発なコミュニケーションを誘発させる大学内共用空間ですが、一種のアフォーダンス (空間の提示によって学生のコミュニケーションを促す)の実験として、とても興味深いものでした。
こうしたPMOの経験と、学部学科が交錯する大学のラーニングコモンズの経験がつながり、今回の展覧会に至りました。「テクノロジーとクリエイティブがビジネスを牽引し、 企業内にイマジネーションを促す次世代のワークスタイルが求められている」などと雑誌ブルータスに取り上げられるほど、オフィス環境は大きく様変わりし、 社会の中で重要なポジションを示しつつあるようです。ラーニングコモンズのコンセプトは、こうした意欲的な仕事場を誘発する創造的な環境のヒントになったのです。 そんな次世代のワークスタイルをサポートするようなオフィス環境を、低コスト、箱型ビルの世間的制約において計画することが本展示の目的です。 建築としてのバリューは弱く、ヒト・モノ・コトのネットワークを作る道具であるようなオフィスビルです。

ラーニングコモンズB-ICHI 計画時、主体的に参加した建築学生が思いもかけず就職したのがなんと不動産会社でした。しかしその会社創造系不動産は「建築と不動産のあいだ」を 標榜するニューカテゴリーな存在でした。今回のオフィスビル計画は建物をはみ出て街や世間に価値を提供するものでもあり、創造系不動産も計画に同道することになりました。

そんな、あれこれの結果がここには展示されています。

飯島直樹 デザイン室 / 飯島 直樹


働く場所と生きる場所の可能性

手元でインターネットに繋がり、メールやSNS ができ、どこでも連絡を取り合うことができる現在、スマートフォンがなかった時代に比べて、仕事や生活は大きく様変わりしました。 仕事と生活の距離は近くなり、職種によってはボーダーレスになるものもあります。 時代の変化に合わせて、世界中では様々な働く環境が考えられ、実践されています。特にIT 企業やクリエイティブ系の 企業では著しい変化を見せています。そこではコミュニケーションや生活行動を意識した空間に力を入れている傾向があります。そして、それらオフィス環境は世の中で注目され評価されています。 日本でも働く環境を見直している空間はありますが、新築オフィスビル主体で、過ごし方や生活行動を意識したものはそこまで多くありません。中規模ビルでは未開拓に近い状態です。

今回展示するDolls は「働き方」「生活」「社会的存在」を意識した、新しい切り口の中規模オフィスビルです。一品性(外壁色、窓のレイアウト、空間特質などのオリジナリティ)と 再現性(建築コスト、工事工程、物理的品質などのマニュアル化)という相反する要素を併せ持っています。不動産の視点から見える土地の可能性を発見し、空間と建築を最大限に生かします。 働く人やチーム、組織のサポーターとなり、仕事と生活、コミュニケーションなどの活動を後押しする、アイデンティティのあるDolls たち。個人の生活や社内コミュニケーションが充実すると、 仕事の結果に良い影響があるでしょう。良い結果を出すことができれば、組織の成長できる可能性が広がります。会社が人を大事にすることは、組織内外ともに社会的な信頼にもつながります。 信頼は優秀な人材確保に繋がります。このようにDolls をきっかけに「個人」と「組織」の好循環を作り出すことができます。 人生の長い時間を過ごす仕事空間は生きる場所でもあります。 生き方や働き方に様々な選択肢がある現在、オフィスビルにも進化の多様な選択肢があります。その進化の可能性の一つとしてDolls に興味を持っていただければ幸いです。

カクデザインオフィス / 林 孝則


不動産戦略としてのオフィス、刻々と流動する思考。

オフィスは、この10 年でその在り方が大きく変わりました。
まずはその空間デザインのトーンの違いが目に入ります。毅然とした、オフィシャルな、モノトーンの空間から、カラフルで、砕けた、手垢を感じる空間へシフトしています。これを経営論的視点から説明すると、 古くて新しい<イノベーション>という概念を実現し続けることが、企業にとって最優先事項であることが、改めて認識されつつあるからだ、と言えると思います。前時代のオフィスは、逆に、働く人を管理し、 セキュリティを強化し、コンプライアンスレベルの高さを誇ろうとしていたのでしょう。
それでは、企業は良くならないどころか、働く人の能力もモチベーションも下がってしまう。特にミレニアム世代の就業についての価値観は変わりました。彼らを惹きつけ、そして<イノベーション>に 実質的に効果のあるワークスペースをいかに準備するか。これがオフィスを計画する経営者たちの関心事で、この現象に先手を打ちたいと考えています。そして同時に日本では、働き方を改革せよという合唱が始まった、 そんな状況です。
また不動産から見たオフィスもやはり変わりました。大規模賃貸オフィスの市場への供給が続き、用地取得が困難になり、中小規模オフィスに視線は移ります。また建築費の高騰が慢性的な現象になりつつある中で、 不動産事業の価値が生じる場の再定義が求められています。そのためには従来の不動産の概念を脱しなければなりません。そしてシェアリング、コミュニティ、オペレーションシステムへと、提供価値とマネタイズを 変化させはじめているのです。 私たちはオフィス、商業、工場、住宅をコンサルティングする会社ですが、常に「建築と不動産のあいだ」にはまりこんだ顧客の利益に着目しています。各業界の個性とその違いを認めつつ、 デザイナーとのディスカッションの中で得られる可能性の渦があります。私たちはそれを「未条件」と呼んでいます。
この展示は、そうした流動する思考そのものであるように努めました。

創造系不動産 / 高橋 寿太郎



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